奨学金を任意整理することはできるのか

　奨学金を借りて大学を卒業したが、その返済が苦しくて困っているという方へ、奨学金の返済が苦しい場合に取ることができる対策についてご説明します。

⑴　任意整理とは

　任意整理とは、裁判所を通すことなく、任意の話し合いによって残っている借金の分割弁済の合意をすることを意味します。

　任意整理によって、長期間の分割弁済の合意をすることができれば、月々の分割金額を減らすことができる場合もありますし、利息を減額・免除してもらう頃ができる場合もあります。

⑵　奨学金は任意整理には向かない

　しかし、奨学金は元からかなりの長期分割を前提としているため、任意整理をしても元々設定されていた以上の期間での分割払いには応じてくれないことがほとんどです。

　また、利息についても、奨学金の利息はかなり低く設定されているため、利息を免除されたとしてもそのメリットはさほど大きくありません。

　さらに、奨学金には、以下に説明するような免除や猶予の制度があるため、あえて任意整理をするメリットがありません。

　したがって、奨学金は任意整理には向いていないといえます。

⑴　返還期限猶予

　傷病、経済困難、失業などによって、奨学金の返還が困難な事情が生じた場合、返還期限の猶予を申し出ることができます。

　猶予の審査が通れば、最大１０年間、返済を先送りすることができます。

⑵　減額返還制度

　約束通りの奨学金の返還が困難な事情が生じたが、減額をすれば支払が可能であるという場合、一定期間月々の返済額を減額してくれる制度もあります。

⑶　返還免除

　精神または身体の障害により、奨学金の返済が免除される場合があります。

　奨学金自体は任意整理には向いていないため、上記制度を用いて対応していただく場合が多いです。

　上記各制度については、日本学生支援機構のホームページをご参照ください

　参考リンク：日本学生支援機構・返済が難しくなった場合

　また、奨学金以外にも借金があるという方は、それらの借金について任意整理をすることで奨学金の返済ができる余裕が生まれることもあり得ますので、当法人までご相談ください。